皆様、こんにちは!Minconパートナーズの足立です。
今回は、事業承継・引継ぎ補助金について、分かりやすく解説していきたいと思います!
現時点で、事業承継・引継ぎ補助金に関する公募要領は未公開ですが、中小企業庁から、令和3年度補正予算に係るパンフレットが掲載されていますので、このパンフレットをもとに、事業承継・引継ぎ補助金の概要及び前回の令和3年度当初予算時との比較・変更点を中心にお話できればと思います!
事業承継・引継ぎ補助金とは
中小企業庁のパンフレットによると、以下を目的とした補助金とされています。
ここで、注意すべき点としては、「年間を通じて機動的かつ柔軟に」という文言です。
なぜ、このような文言が付されているのでしょうか。
そこで、改めて、前回の令和3年度当初予算の事業承継引継ぎ補助金のスケジュールに注目したいと思います。
上記の通り、交付決定(2021/11/19)から事業実施期間(2021/12/31)までの、わずか1ヶ月少しの間にM&A・事業承継が成約した案件のみ補助金交付の対象となっていました。
非常にタイトなスケジュールの中で成約を迎えられた案件に係る経費しか補助金の対象にならなかったため、補助金の恩恵をきちんと享受できた企業様は採択数よりも大きく割り込んでいるのではないかと推測されます。
そこで、このスケジュールに関する条件を緩和し、効果的な補助金制度の運用を図ることが予定されているのではないかと推測しています。
ただし、あくまで、私見に過ぎませんので、公募要領が公開され次第、アップデートさせていただきます!
経営革新事業(継続)
経営革新事業とは、前回より継続した補助事業で、事業承継・M&A後の経営革新(設備投資・販路開拓等)に係る費用を補助するものです。
(出典:中小企業庁パンフレット)
専門家活用事業(継続)
専門家活用事業も、前回より継続した補助事業で、M&A時の専門家活用に係る費用(ファイナンシャルアドバイザー(FA)や仲介に係る費用、デューデリジェンス、セカンドオピニオン、表明保証保険料等)を補助するものです。
(出典:中小企業庁パンフレット)
ここで、1点注意していただきたいのは、FA・仲介費用については、「M&A支援機関登録制度」に登録された支援機関による支援に係る費用だけが補助対象になるため、現在支援されている会社、もしくはこれから支援予定の会社が、登録M&A支援機関になっているかどうか、一度確認する必要があります。ちなみに、弊社は登録M&A支援機関です!
廃業・再チャレンジ事業(新設)
廃業・再チャレンジ事業は、新設された事業になりますが、厳密には、従前の経営革新型・専門活用型に含まれていた事業になりますので、実質的には継続した事業になり、事業承継・M&Aに伴う廃業等に係る費用(原状回復費・在庫処分費等)を補助するものです。
従前の制度との比較・変更点
次に、令和3年度補正予算に係る事業承継引継ぎ補助金が、従前の制度と比較して、どの点が変更されているのかについて、見ていきたいと思います。
経営革新事業(継続)
(参考) 令和2年度 第3次補正予算 | 令和3年度 当初予算 | 令和3年度 補正予算 | |
---|---|---|---|
申請類型 | 創業支援型(Ⅰ型) 経営者交代型(Ⅱ型) M&A型(Ⅲ型) | – 経営者交代型(Ⅰ型) M&A型(Ⅱ型) | 創業支援型 経営者交代型 M&A型 |
申請要件 | 新事業展開等要件 生産性向上要件 | 要件の撤廃 | ? |
経営革新と専門家活用の 同時申請は不可 | 経営革新と専門家活用の 同時申請は可能 | ? | |
補助率 | 2/3以内 | 1/2以内 | 1/2~2/3以内 |
補助上限額 | 経営者交代型:400万円以内 M&A型:800万円以内 | 経営者交代型:250万円以内 M&A型:500万円以内 | 600万円以内 |
事前着手制度 | あり | なし | ? |
(出典:令和3年度当初予算事業承継・引継ぎ補助金の概要、中小企業庁パンフレット)
上表のとおり、前回の令和3年度当初予算と比較し、補助率及び補助上限額が上昇していることが確認できます。未だ公募要領は公開されていないため、申請要件や事前着手制度などの主要な項目の変更点は未確認ですが、前回と対比し、効果的な補助金制度になっている可能性があります!
専門家活用事業(継続)
(参考) 令和2年度 第3次補正予算 | 令和3年度 当初予算 | 令和3年度 補正予算 | |
---|---|---|---|
【委託費】 FA・M&A 仲介費用 | FA・M&A仲介業者の指定なし | M&A支援機関登録制度に登録された FA・仲介業者のみ | M&A支援機関登録制度に登録された FA・仲介業者のみ |
補助対象経費の費目 | – | 表明保証保険契約に係る「保険料」を追加 | ? |
申請要件 | 経営革新と専門家活用の同時申請は不可 | 経営革新と専門家活用の同時申請は可能 | ? |
補助率 | 2/3以内 | 1/2以内 | 2/3以内 |
補助上限額 | 400万円以内 | 250万円以内 | 600万円以内 |
事前着手制度 | あり | なし | ? |
(出典:令和3年度当初予算事業承継・引継ぎ補助金の概要、中小企業庁パンフレット)
経営革新事業と同様、専門家活用事業も、前回の令和3年度当初予算と比較し、効果的な補助金制度となっています。特に注目すべきは、補助上限額が600万円以内となっていることです。
M&A仲介・FA業者に対するM&A取引における成功報酬の計算方法として、商慣習的にレーマン方式という計算方法によって算出されるケースが多く見受けられます。
このレーマン方式とは、M&A専門のアドバイザリー会社や仲介事業者において一般的に使われているM&A取引における成功報酬の体系であり、下記の通り、取引金額(移動した資産の価格など)に応じて報酬料率が逓減する仕組みになっています。
取引金額が5億円までの部分・・・5%
取引金額が5億円を超え10億円までの部分・・・4%
取引金額が10億円を超え50億円までの部分・・・3%
取引金額が50億円を超え100億円までの部分・・・2%
取引金額が100億円を超える部分・・・1%
これに沿って考えると、取引金額が1.8億円のM&A取引が成立した際の、レーマン方式に従った成功報酬が1.8億円×5%=900万円となります。そのうち、補助上限額600万円が補助金で賄われるため、結果的に300万円の仲介費用で済むことになります。
現在、M&A取引を検討されている企業様は、公募要領が公開されたのちに、ぜひ一度、適用可能かどうか、ご検討いただくことをお勧めいたします。当該ご検討に際してのアドバイス、申請代行手続きについて、弊社でご対応可能ですので、ご興味があられる企業様はぜひご相談いただければと思います!
最後に
今回は、事業承継・引継ぎ補助金の大枠について、分かりやすく解説しました!現時点で、事業承継・引継ぎ補助金に関する公募要領は未公開のため、具体的な申請要件やスケジュールなど、未定な部分も多いですが、補助率・補助上限額が上昇していることや、パンフレット冒頭に記載のあった「年間を通じて機動的かつ柔軟に」活用ができる補助金制度として、個人的には事業承継を検討されている企業様にとっては大きなプラスではないかと期待しています。
現時点で、事業承継を少しでもお考えの企業様は、ぜひ、この補助金の活用をご検討いただければと思いますし、検討に際して、ご不明点等ございましたら、ぜひ、お問い合わせ頂ければ幸いです!